「優星君と一緒に頑張るって決めたんだ。すべての問題が解決したら、結婚しようって言ってくれたの」

 ちょっぴり照れくさく思いつつも、公佳には包み隠さず話したい。

「そっか、それじゃ浮かれている場合じゃないね。ごめんね、野暮なことを聞いちゃって。きっと星奈も香坂さんも、身体の関係がなくたってそばにいるだけで満足しちゃうんでしょ?」

「えっと……そうかも」

 もう二度と会えないと思っても、想いを消すことができないほど好きな人と再会できて気持ちが届いた。奇跡のような毎日を過ごせて、それだけで幸せ。

「フフフ、なんかもう星奈と香坂さんのこれまでって、ドラマや小説の世界みたいだよね。私は運命の赤い糸で結ばれていると思うな」

 公佳は自信満々に言って、珈琲と一緒に出したクッキーに手を伸ばした。

「だけどもっと香坂さんに触れたいって思わないの?」

「今のところはないかな?」

 三年前までは何度も肌と肌を重ねていたけど、今はおかえりなさいのハグだけでいっぱいいっぱいだし、それ以上触れたら心臓が壊れそう。

「星奈はそうでも、香坂さんは違うんじゃない? 星奈に触れたいって思ってるかもよ? どうするの? 身体を求められたら」

「それは……恥ずかしいし久しぶりだから緊張しちゃうけど、嫌ではないから受け入れるかな?」

 感じたままを伝えれば、公佳は意外そうに目を見開いた。