「えぇー、私はべつに星奈を泣かせようと思って言ったわけじゃないけど? ただ当たり前のことを言っただけなのに」

「その当たり前なことが、私にとっては泣くほど嬉しいことなの」

 開き直って言った後、公佳とのやり取りが可笑しく思えて、どちらからともなく笑ってしまった。

 だけど公佳に伝えた言葉に嘘はない。彼女にとってはなんてことのない言葉でも、それが私にはすごく嬉しいこともある。
 何気ない言葉にたくさんの勇気や元気をもらってきたもの。

 しばし笑いあった後、公佳は子供たちが仲良く遊んでいるのを確認して声を潜めた。

「それで久しぶりに触れてどうだった?」

「どうだったってなにが?」

 公佳の言いたいことがわからなくて小首を傾げる。すると公佳はさらに小さな声で言った。

「三年ぶりに愛を確かめ合ってどうだったかって聞いてるの」

 そこまで言われたら公佳がなにを聞きたいのかさすがに気づき、一気に身体中の熱が上昇した。

「なにを言ってるの? 星斗と星七がいるのにするわけないじゃない!」

 必死に声を抑えて言ったものの、恥ずかしさでわなわなと身体が震える。