頑なに首を振り、

陽葵から涙が零れた。

僕が拭えるのは

これが最後かもしれない。

そう思い、ベッドから背中を離し、

陽葵に手を伸ばした。

そして陽葵の頬に手を添え、

親指で涙を拭い、

おでこをくっつけ言った。

「大丈夫。

何も怖がらなくていいよ。

陽葵が正しいと思った事をして。

僕はいつでも見守ってるから。」

この日、僕は初めて“陽葵”と呼んだ。