声は低く、殺気立った顔。
こんなところを見ては、無理もない。


「思ったより来るの早かったね、小鳥遊碧くん。俺、電波遮断機持ってるから、茉白ちゃん見つけるのもっと時間かかるかと思ってた」


健くんは碧を怖がることはなく。
わたしの上から退いて、隣に座ると自分のポケットからなにかを取り出して、それを見せた。


見せたものは、1本のアンテナがついた小さな黒い機械。


……電波遮断機?


「ふざけことしてんじゃねぇぞカス!!ぶっ殺されてぇのか!?あぁ!?」


怒りをあらわにして、こちらへと近づいてくる碧。
このままでは碧が殴りかかる気がして、わたしはすぐに起き上がった。


「碧くんがいない間に、俺と茉白ちゃん、トモダチになったんだよ。
ね、茉白ちゃん」


こちらを見てにこりと笑う健くん。


「そう!!そうなの!!碧!!」


すぐに立ち上がって、碧のもとへと駆け寄る。
わたしは、一生懸命笑って見せるが……。


「……なにか脅されてるんですか、お嬢。待っててください、今すぐにあの男を消しますから」


碧は健くんへと近づく足をとめない。