「ど、どっちも言わないで!!」
「それで俺が素直に返事すると思ってんの?」


にやりと笑う男。

……確かに、素直に返事をしてくれるとは思えない。
こんな頼み方をしているし。


「お、お願いしますっ!!言わないでくださいっ!!」


ぺこりと頭を下げたわたし。
だけど、「態度の問題じゃないよ」と笑われた。


「人に頼みごとをする時は、なにか差し出さなくちゃ。俺はタダで黙っててあげるほどお人好しじゃないから」


そんな声が上から降ってきて、顔を上げる。


……お金か。
この男は、お金を要求しているのか!!


「あ、あなただって暴走族に入ってるんだよね!?そのこと、みんなに言っちゃうよ!?」


わたしが握られてた弱みは2つ。
だけど、わたしだってちゃんとこの男の弱みを握っていることを思い出して、必死に声を出した。

だけど、この男は特に焦る様子もなく。


「俺が暴走族の総長やってることなんて、ここら辺じゃ有名な話だよ。俺のチームはかなり強いし、目立つからね。
今さら隠すのとかめんどくさくてオープンで生きてきたし、ここの学校のやつらは俺と同じ中学出身のやつが多いしほとんど知ってるんじゃない?」


その言葉を聞いて、びっくり。