『碧さん、うちのシマ荒らしてた暴走族を1人で潰したんだってさ!』
いつの日か、家の中で耳に挟んだ組員の会話。
わたしはその会話を聞いたから、碧がいつの間にか鷹樹組の組員になっていたことを知ったんだっけ。
……碧は、わたしが見ていないところでたくさん動いている。
「茉白ちゃんさぁ、小鳥遊碧くんと付き合ってんの?」
「へ?」
まさかの質問。
思わず間抜けな声が漏れた。
あ、碧とわたしが……!?
「つ、付き合ってないよっ!!」
「じゃあ茉白ちゃんの片想い?」
「っ!!」
「当たりか」
言い当てられ、なにも言えなくなる。
こうなるのは本日2回目。
……なんで、今日1日で2人に碧への気持ちがバレてしまうのか。
凛ちゃんも、この男も鋭すぎる……。
「お願いだから、絶対言わないで!!」
ガシッと腕を掴んで、強く言う。
「どっちを?ヤクザのこと~?それとも茉白ちゃんが小鳥遊碧くんを好きってこと~?」
楽しむように聞かれる。
……いや、絶対、楽しんでるな。