とりあえず、深く聞かれなくてほっとひと安心。
──した、すぐあとに。


「ギリギリセーーフ」


大きな声が聞こえてきた。
声のしたほう、教室の前の扉へと目を向ければ、そこにいたのはミルクティー色の髪の男性──猿渡健一郎がいた。


「セーフじゃねぇよ、健!」
「昼休みから登校してくるとかさすがだわ」
「健ちゃん!おはよー!」


クラスメイトたちが笑顔で猿渡健一郎に挨拶。


その光景にびっくりした。
だって、あの男をわたしは1回も教室内で見たことがないから……てっきり、友だちが1人もいないものだと。


友だちたくさんいる!?
なんで!?
なんで学校に来てないのに友だちがたくさんいるの!?


「気が向いたから学校来た~」


猿渡健一郎は笑いながら言えば、あはは!とみんなが笑う。


……ず、ずいぶんみんなと仲がいいようで。

びっくりしすぎて思わずガン見。


「そーいえば、俺の席どこ?つーか、ちゃんとある?」


派手髪の彼がそう聞いて、わたしはきょろきょろと教室内を見渡した。