──キーンコーンカーンコーン


「お嬢、なにかあればすぐ俺に連絡をしてください」
「うん。じゃあね、碧」


お昼休み終了のチャイムが校内に鳴り響いて、わたしは1組に、碧は2組の教室へと戻る。


少しだけ早く教室の前に来て、猿渡健一郎がいるかを確認したが、彼は不在で。
安心して教室に入ることができた。


「茉白!茉白の幼なじみくんと健一郎がケンカしたんだって!?大丈夫だった!?」


教室に入って自分の席へと行くと、凛ちゃんはすぐに聞いてくる。


それを聞いて思い出すのは、数十分前のこと。
猿渡健一郎に急に頬にキスをされて、碧がキレた、あの……。


凛ちゃんが知ってるってことは、もしかして噂になってるとか!?


「大丈夫!ぜんぜん大丈夫!その、猿渡って人にいきなり絡まれただけで、ケンカっていうケンカはなかったよ!うん!」


必死に答えれば、凛ちゃんは。


「そっか!それならよかった!」


深く聞いてくることはなく、思ったよりも軽い返事。