わたしの肩に手をまわしているのは、ミルクティー色の髪の、整った顔立ちの男性。
頬に触れたのは、その男性の唇で。


目の前には、5人の女の子。
履いているサンダルの色が違うから、先輩だ。


その先輩5人は驚いた表情をしたが、すぐに冷たい視線をわたしに向ける。


……な、なにが起きて?
っていうか、だれ?
これはいったいなんですか!?


急にいろんなことが起きるから状況を把握するのに頭が追いつかない。


「……行こ」


茶髪の先輩がそう言うと、5人はすぐにこの場を去っていく。


瞬きをして後ろ姿を見送れば、ミルクティー色の髪の男性はわたしを見て口を開いた。


「ごめんね、おチビちゃん。絡まれてめんどくさかったから、つい利用しちゃった」


ぜんぜん、謝られている気がしない。
だれが“おチビちゃん”だ。
……っていうか謝るよりも離れるほうが先なんじゃ!?

距離が近い!


「は、離してくださ──」


すぐに離れようとした時に。





「なにしんじゃクソ猿」


すぐ近くから低い声が聞こえてきて、腕をつかまれ。
強い力で引っ張られた。