そうならないために、凛ちゃんの言う通り押して押して押しまくるしかないのかも。


碧は絶対、わたしのことを意識していない。
手を握っても顔を赤くしたり慌てたりしている様子もなかったし、碧は普通にわたしに触れてくるし……。

なんとかして意識させないとっ!


まぁ、ずっとそう思ってはいるんだけど……次はなにをしたら意識してくれるの?
押すって具体的になにをすればいいの!?


やっぱり考えてもぜんぜんわからない。


碧をじっと見て考えていれば、彼は傘を受け取って女の子との会話は終了。
鞄を持って、こっち来るかと思ったら……まさかの、今度はちがう女の子2人組に話しかけられた。


これは、やばい。
碧が明らかに狙われてる。


……どうしよう、どうしよう!
心は焦るが、わたしは2組じゃないから教室に入ることもできず、ただ見ていることしかできない。



ただその場にいれば……──急に、肩に手がまわってきて、引き寄せられた。







「あー、ごめん。気持ちは嬉しいんだけどさ……俺、この子が好きなんだよね」


至近距離で声がしたその直後、ふにっと柔らかい感触が頬に触れた。