それを聞いた碧は、「夢じゃなかったのか」と小さくつぶやく。


どうやら、少しでも記憶はあるみたいだ。

……よかった。



「つーか、あれがおまえのファーストキスじゃねぇよ。俺のファーストキス、おまえが5歳の時に奪ってるからな。今までなにも言わなかったけど」


次の言葉は……信じられないような言葉。


わたしが……碧のファーストキスを奪った?
5歳の時に……?
な、なんですか、それは!?


「え?……えぇっ!?」


思わず大きな声が漏れる。


「一緒に寝てた時に寝ぼけてキスしてきたんだよ、おまえは」
「え!?」


ファーストキスは、もう5歳の時にしてたの!?
しかもわたし、まったく記憶ないよ!?


「ご、ごめんね!?謝るのは今さらだけど……!」
「俺はあの時も茉白が好きだったからいいって。それより、キスさせて」



碧はすぐにわたしに顔を近づけてきて、唇にキスを落とす。