十年後――。





 高校三年生のときのクラスの同窓会に参加した耀子から聞いた話。

 それは……。

 松尾が……。
 結婚……した……。

 相手は香原さん、とのこと。


 松尾は香原さんとよりを戻すこともなく高校を卒業。

 それから何年か経ち。

 松尾と香原さんは偶然、再会したらしい。


 それから友達として会うようになって。
 数ヶ月後には恋人。
 ……そして結婚へ……。



 そのことを聞いた私は……。


 ……大丈夫。
 だと思っていた。

 松尾とは高校を卒業してから一度も会っていない。

 だから。
 消えていると思った。
 心の中から。
 松尾の存在が。

 ……でも。
 それは……。
 ……違っていた……みたい。

 今でも。
 松尾の存在が。
 心の中に。
 残っている。

 過去形じゃなく。
 現在進行形で……。



 私は高校を卒業してから十年間、恋人がいなかったわけではなかった。


 ……でも……。

 松尾以外の人と付き合うことによって気付かされることがあった。


 それは……。

 私は……。
 やっぱり……。
 松尾のことが……。


 そう思う度に。
 心が張り裂けそうになる。



 そして。
 今は誰とも付き合っていない。


 きっと。
 もう誰とも付き合うことはできない……。



 ……好き……だから……。


 高校卒業してから十年経った今でも……。

 変わることなく……。

 松尾のことが……好き……。





 ……ねえ、松尾……。

 あのときに……。

 素直になっていれば……。