聖志の部屋に来て、一夜明けた。

 結局……。
 聖志の部屋に泊まってしまった。


 今は……。
 聖志とベッドで……。


「遥稀、可愛い」


 聖志にそう言われながら。
 おでこ、頬、耳、首筋などにキスを落とされる。

 それが、すごく、くすぐったくて恥ずかしくて。


「恥ずかしそうにしている遥稀も可愛い。
 そんなにも可愛いと、ずっとこうしていたくなる」


 聖志はそう言って。
 そっと唇を重ねる。

 それはすぐに。
 深く、そして甘く。

 甘い甘い蜜のように。


 このままでは。
 私も聖志から離れたくなくなる。


 だけど。
 午後から仕事がある。

 だから帰らなければ。


 そう思った私は聖志の背中をポンポンとした。


「どうした、遥稀」


 合図に気付いた聖志は、そっと唇を離した。


「今日、午後から仕事があるから帰らなくちゃ。
 ……私も、まだ聖志と一緒にいたいけど……」


「そうだったな。
 寂しいけど、今はここまでか。
 じゃあ……」


 じゃあ……?


「一緒に風呂に入って、それから朝飯食って、
 そのあと家まで送ってく」


 ……え。


 今、何て言った?


「……聖志?」


「なに、遥稀」


「今……なんて……」


 聞き間違いだよね……?


「朝飯食って送ってく、って」


「……その前に何か言わなかった……?」


「あぁ。
 一緒に風呂に入る、って」


 やっ……やっぱり‼

 聞き間違いじゃなかった‼