「……とし」


「うん?」


「……さ……とし……」


 言ってやった。


「嬉しい、遥稀」


 松尾……聖志は嬉しそうにそう言って……。


 再び唇を重ね合わせた。


「好きだ、遥稀」


「私も好き、聖志」


 唇が離れる度に。
 お互い『好き』の言葉を繰り返す。


 今まで聖志に言うことができなかった『好き』という言葉。

 それが。
 今は何度も言っているから。

 なんだか、不思議……。


 私のことを『好き』と言う聖志の甘く色気を感じる声。

 その声を聞くと。
 身も心もとろけてしまう。


「……遥稀、声も可愛い。
 もっと遥稀の可愛い声、聞きたい」


 聖志にそう言われ。
 ものすごく恥ずかしくなる。


 そう言われても。
 無意識のうちに出てしまっているから。

 ……出そう……と思って出しているわけでは……。



 ……⁉


「ほんと可愛い、遥稀の声」


 また無意識のうちだった。


 だって……。

 聖志の唇が。
 私の首筋に触れて。

 強く吸い付けるように。
 何度も、何度も。
 強弱をつけながら繰り返していく。


 それが。
 ものすごく刺激的で。

 だけど……。
 とても快感で……。



「……付いた」


 そう感じていると。
 聖志の唇が離れ。
 そんなことを言っている。


「付いた……って……?」


 何がだろう。