「かわいい遥稀のこと、もっと知りたい」


 松尾にそう言われて。
 驚きと戸惑い、それから恥ずかしさ。
 それらが激しく駆け回り出したとき。

 もう一度。
 松尾の甘いキスが……。


 それは。
 さっきよりも。
 激しく深く。

 だけど。
 その中には。
 蜜のように甘くとろけるような……。



 ……それにしても……。

 激しい……。

 あまりにも激しくて。
 呼吸が……。

 足りなくなってしまう。
 酸素が……。


「……苦しい?」


 そう感じているとき。
 やさしく唇を離した松尾が甘く囁くようにそう言った。


 唇を離したといっても。
 少し動いただけで触れてしまう距離。


「……色っぽい」


 え……?


「苦しそうにしている遥稀」


 え……⁉


「……悪趣味……」


 息を切らしながらそう言えば。


「声も色っぽい」


 そう言ってくるから。


「……何言ってるの……。
 からかわないで」


 まだ酸素が足りていないから。
 声が弱々しくなる。


「からかってなんかいない」


 熱と艶を含めた松尾の眼差し。


 ……ドキドキ……してしまう。

 心臓が激しく動き過ぎて。
 どうにかなりそう。