「せっかちだよな、俺」


 突然、松尾から想いを打ち明けられて……。

 どんな気持ち……?


 嬉しくない、と言えば噓になる。


 ……違う。

 それだと……素直じゃない。


 本当は……。

 すごく……嬉しい。


「……いるの……?」


 いるの……って……?


「好きな(ひと)


 ……‼


 松尾にそう訊かれて。

 なぜか顔が一気に熱くなり。

 たぶん。
 ううん、確実に。
 今の私の顔は。
 ものすごく真っ赤。


 その顔を松尾に見られていることが。
 ものすごく恥ずかしい。



 なぜだろう。
 治まらない。
 激しく動く心臓が。

 それどころか。
 激しさは増していく一方。


 違う。

 わかっている。
 本当は。

 こんなにも胸の鼓動が激しいのは……。


「教えて、遥稀」


 熱を含んだ松尾の瞳。

 そんな瞳で見つめられると……。


「……特に……いない、よ」


 隠し切れそうにない。
 自分の本当の気持ち。