「渡したいものがある、というのは」


 ……⁉


「え……⁉」


 なんで、そんなこと……。


「一緒にいたかった。
 少しでも長く遥稀と」


 私を抱きしめる松尾の腕の力がより強くなった。


「……好き……だから」


 え……。


「俺は遥稀のことが好きだ」


 私からやさしく離れ。
 私の目を真っ直ぐに見た松尾はそう言って……。


「あの日。
 俺は自分の気持ちに気付いた」


 あの日……?


「遥稀がやっているカフェに行ったとき」


 そのときに……?


「政輝くんが遥稀のことを好きだと知って」


 え……⁉

 松尾、亜南くんと一体どんな話を……⁉


「そのとき『俺も遥稀のことが好き』と思った」


 松尾の真剣な眼差し。


 ……ドキドキ……する。


 吸い込まれそう。
 松尾の瞳に。


「……遥稀……は……?」


 え……。


「……どう思ってる……?
 俺のこと……」


 どう……って……。

 いきなりそんな……。


「いきなり訊かれても困るよな」


 心を読まれた……?

 そう思ってしまうくらいのタイミングで松尾が言ったから。

 余計に困ってしまって。


「……って、言ったけど……」


 ……?


「本音は……知りたい。
 少しでも早く」


 松尾……。