私……。

 よく考えたら……考えなくても。

 松尾は私のことを女性として見ていないかもしれない。

 そう思ったものの。
 やっぱり大胆過ぎたかな。
 松尾の部屋に入ったこと。

 なんか……。
 急に……。
 意識……してしまっている。


 どうしよう。

 このままでは。
 心身ともに、もたなくなる。


 早く。
 松尾が私に渡したいというものを受け取って部屋を出なくては。



 って。

 松尾⁉

 なんか、さっきからくつろいでいるように見えるのは気のせいだろうか。


 何を渡してくれるのか、わからないけれど。
 時間がかかるのなら、そのことに取り掛かった方がいいのでは⁉


「楽しみだな」


 だから。


「うん?」


「松尾が何をくれるのか」


 それとなく話を持ち出した。


「あぁ……」


 ……⁉


『あぁ』って。

 なに、そのリアクション⁉

 私に渡したいものがあるから部屋に入れたのでは⁉



 そして数分経っても。
 松尾はソファーから立ち上がろうとしない。


 その様子を見て。
 ますますわからなくなった。
 松尾がどうして私を部屋に入れたのか。


 もう少し。
 もう少しだけ待ってみよう。

 それでも何も動きがなかったら。
『そろそろ帰る時間だから』と言って部屋を出よう。