今はカフェ閉店後の片付けをしている。
「店長」
そのとき。
亜南くんに声をかけられた。
「昨日、店長の同級生の方がいらっしゃいました」
「同級生って……」
もしかして。
「はい、その方です」
松尾が。
この店に……。
そういえば。
『店に行く』
そう言っていた。
本当に来てくれたんだ。
「松尾様は店長のことを訊かれていました」
せっかく来てくれたのに。
すれ違っちゃった。
って。
私……。
がっかりしている……?
なんで、こんなにも……。
「ありがとう政輝くん、教えてくれて」
「そんなこと、いいですよ。
……正々堂々としたいので」
……?
正々堂々と……?
それはどういう……?
「そういえば、政輝くん、『松尾』って。
名字、知ってるんだ」
「昨日、少しだけ話をしまして」
「そうなんだ」
話……。
一体何を話したのだろう。
……少しだけ……気になる……ような……。