「それって」


 え……。


「問題あります?」


 亜南くん……。


「俺と遥稀さんの年齢が一回り違っていても。
 そんなこと、全く問題ありません」


 亜南くん……。

 そう言ってくれているけれど……。


「……気に……なるよ」


「遥稀さん?」


「……私は……
 年齢が一回りも違うこと」


「なんでですか。
 そんなこと気にする必要なんて全くないじゃないですか」


「亜南くんはそう言ってくれるけど、
 私が二十歳のとき亜南くんは八歳だったんだよ。
 一回り違うって、そういうことだよ」


「俺、今は八歳じゃありませんよ」


「それはそうなんだけど―――」


 ……‼


「見てほしいです」


 亜南くん……。


「俺のこと……
 一人の男として……」


 私のことを見つめる亜南くんの瞳が。
 とても色気を含んでいて。

 一緒に仕事をしているときの亜南くんとは違っているから。

 戸惑ってしまって。

 ……それから……。
 少しだけ。
 ドキッとも……。

 そのせいか。
 全身が固まって言葉も出ない。



「あっ、仕事のときは今まで通りの接し方で。
 変に意識はしないでもらえたら」


 どうすればいいのか。
 頭と心の中が騒がしくなっているとき。
 亜南くんがサラッとそう言った。


「これからもよろしくお願いします」


 笑顔の亜南くん。


「こちらこそ、よろしくね」


 その笑顔が。
 あまりにも爽やかだから。

 目を離すことができなかった。