「その日、俺と一緒にカフェ巡りしません?」


「カフェ巡り?」


「はい。
 ライバル店の偵察も兼ねて」


「……偵察……って……」


「ダメ……ですか……?」


「ダメとか、そういう……」


 なんて返事をすればいいのか。


「……いない、んですよね……?」


 いない……?
 いないって何が?


「……彼氏……」


 いない。
 彼氏。

 そうなんだけど……。


 政輝くん。
 なんか、いつもと違う……?


「……うん……」


 そう思いながら返事をした。


「それならいいじゃないですか。
 一緒にカフェ巡りしましょ」


 無邪気な。
 政輝くんの笑顔。


「うん」


 その笑顔を見たら。
 誘導されるように頷いてしまった。


「じゃあ、決まりですね。
 楽しみにしています」


 カフェ巡り。
 とは言っても。
 偵察、なんだよね?

 その割には。
 政輝くん。
 なんだか楽しそうにしているように見える。

 気のせい、かな。