「君原さん、保健委員だっけ」


「そう。湯川くんは陸上部だよね?」


「うん。この雨だからグラウンドぐしょぐしょで使い物にならなくて。で、筋トレしてもう解散」


「そうなんだ」



少し他愛もない話をして、私はふと湯川くんの手に持っている傘に目を向けた。



「あ、湯川くん傘持ってるじゃん。強くなる前に帰りなよ」


「え?ああ、そうだね。君原さんは?」


「私?傘忘れちゃって。でも誰か友達来るの待とうかな、って」


ってもう、仲良い友達はもう先に帰っちゃってるのだけど。