そしていよいよ「目撃者」に会う時間になった。


彼は、たまたまその時間に先生が落ちた階段の下にいたらしい。


『すみません。お待たせして申し訳ありません』


そこに来てくれたのは「好青年」というイメージの男子生徒で、丁寧に頭を下げてくれた。


『忙しいのに悪かったね。今、少し話を聞いても大丈夫かな?』


凛音が優しく声をかける。


『はい。大丈夫です』


ちょっと…緊張してるみたいだ。


『君が階段から落ちる先生を見た時、誰か他に人はいなかったのかな?気配がしたとかでも…』


『あの時…僕は演劇部の下の階にいて、廊下を歩いていたら「ドンッ」という大きな音がしてすぐに駆けつけました。先生は階段から落ちた直後で…すごく驚いて慌てて声をかけました。その時、たまたま階段の上を見たんです。そしたら…』


『…何か見たの?』


思わず私が言った。


祈るような気持ちだった…