「甘い物を好きなだけ食べてもいいなんて、夢のようですわ。いただきます」

 切り分けられたケーキを口に含むと、ふわふわのスポンジとクリームの甘みに頬が緩む。王城につかえる一流菓子職人の一品は、たった一口だけでも、キャロルの心と体に染みわたった。

「美味しい~!」

 王太子妃の座を降りるだけで、レオンは『∞』回の好きを与える恋人と結婚することができて、キャロルはお菓子が食べ放題になるなんて。良いことずくめだ。
 こんなことなら、もっと早くに婚約破棄するべきだった。