「変装の理由が分かりましたわ。王族と面会した者は、城を出るさいに所持品の検査が行われます。ニナ様は、それを回避して盗品を城の外に持ちだすため、商人に変装して脇門を通ったのですね。わたくしの目には、悪事がまるっとお見通しですわ」

「はん。今さら捕まえられたところで、こっちは痛くも痒くもないね」
「きゃあっ!?」

 勝ち気に笑ったニナは、キャロルを片手でひねり上げた。
 騒ぎを聞きつけて、物陰に潜んでいたひげ面の男たちが現われる。すり切れた服を着て、腰には短剣を差していて、昼間から酒の匂いを漂わせている。

「頭領、そいつは?」