「おっと……あー、菜々のお兄さん……こんばんは」



ちょっと驚いた様子で兄に
挨拶をする俊くん



「こんばんは、俺はもうお暇するから……。羽麻くんもまたね」



兄はニッコリと笑顔で答えると
俊くんと入れ違うように玄関を出る



「じゃあ、菜々また。連絡待ってるからね」



私の方にも笑顔を向けると
手を振ってその場から姿を消したーーー。



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「俊くん、今日はごめんね」



「ん、いや大丈夫。桜庭も何だかんだで菜々のこと心配してたからあんま気に病むなよ?」



「うん……ありがとう」



コップに注いだ麦茶を
テーブルの上に置いた後
俊くんの横に座って膝を抱える。



「とりあえずさ、なんかあったら話聞くから。今はなんも気にせずゆっくり休めよ」



そう言って私の頭を
ポンポンと撫でると
自分の肩へと引き寄せる



その優しさがとても嬉しくて
だけど同時に苦しかった。



俊くんになら話してしまっても……
そこまで考えて自分の中で首を振る



言えるわけない……



私は兄に恋してます
体の関係も持ちました


こんな過去……



俊くんに話すべきじゃない。
何より嫌われたくない……
軽蔑されたらと思うと怖くて仕方ない。