綺春くんと一緒に観覧車に乗りたかったのは事実なのに、早く降りたいとすら思う。

高所恐怖症とかではないけれど、ここまで高いところに来る機会って早々ないから、自分の許容範囲があいまいだったみたいだ。

自分から誘っておいてなさけない。



「こわい……、」


弱弱しい声がこぼれた───その時。



「目つぶってなよ。おれの服掴んでていいから」

「え、あ……っ!?」



ふわり、大好きなかおりが強くなった。

向かい合って座っていたはずの綺春くんがわたしの隣に来て、それから───ぎゅっと抱きよせた。