「堂くん」
「なに?」
「って。心臓、動いてたんだね……」
「おまえ俺をなんだと思ってんだ」
とくん、とくん。
なんだかそのリズムが心地よくて、一瞬まどろみかけた。
はっと我に返ってわたしは身体をよじり、堂くんに背を向ける。
「なんでそっち向くんだよ」
「いやさすがにもたないから……!」
「なにが」
「顔が……」
「は?」
「っ、顔がちかいの……!」
思ってたこととはすこし別のことを言った。
顔が近いのもあるけど、堂くんの顔がいいから。
オーラに目が潰されてしまいそうなので直視できない。
後ろに堂くんの顔があるのも気後れするけど……まだこっちのほうがマシ。