間髪入れずにそう返した堂くんに、彼女さんの顔がかあっと赤くなる。
「だったらなんでっ……」
「それが特別だって思われてんのも心外だし、そういうのいらねーんだわ」
それまでふたりの会話をはらはらと見守っていたわたし。
堂くんはそんなわたしのおでこにかかる前髪をかき分けて、
「っ、ひゃ……!?」
また、キスを落とした。
今度は唇じゃなかったけど、それでも突然のことに顔が熱くなる。
いちいち反応するわたしが面白かったのか、堂くんがふっと笑った。
「特別なことってこういうことを言うんじゃねーの?」
どこまでも柔らかくて、やさしい笑み。
「別に、なにかをしてもらったり、してやったりする必要はないんだよ」
まるでわたしに言っているように。
堂くんはまっすぐにわたしを見つめて、わたしも堂くんから目をそらせない。
「いてくれるだけでいい。近くで、笑ってくれるだけでいい」
「っ……!」
そんなの、……そんなの。
どうしてわたしに向かって、言ってくれるの?