いきなり放たれた言葉に、くらりと世界が揺れた。
「遊ばれてるだけだよ、安藤さん。本気になるだけ無駄」
女の子はただ事実を告げるように、言葉を続ける。
「なずは中学のときから恭くんと一緒にいるの。きみとは過ごしてきた時間も、育んできた関係も、なにもかも違うんだよ。別次元になずはいるの」
過ごしてきた時間。
育んできた関係。
……別次元。
女の子の口から飛び出すワードにはどれも特別感があって。
必死に冷静さをかき集めるようにして、わたしは口をひらいた。
「……そんなの、」
「出任せだって?現実見なよ。見苦しいよ、安藤さん」
女の子の目が苛立たしげにきゅっと細まる。
その仕草もまるで高貴なペルシャ猫のようで様になっていた。
一緒に並ぶのが恥ずかしくなってしまうほど、彼女は可愛かった。