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その数日後。
すこし遅くなった委員の帰り、同じ委員の女の子にちょんちょんと肩をつつかれた。
「ねえみくるちゃん」
「あ、さっきの返却方法変更のとこ?じつはわたしもよくわからなかった……」
「そうじゃなくて、あれ」
ゆるりと持ちあげた指を追うと、そこには眠っている堂くんの姿。
まさかまだいるとは思わなくて、油断していたわたしは声をあげてしまう。
「びっくりした。もう帰ってると思った」
「みくるちゃん、なんとかしてきて」
「えっ」
その子はどうやら堂くんのことが怖いらしい。
おどおどしながらもわたしの背中をぐいぐいと押し出してくる。
ちょっと待って、わたしのも心の準備というものが。
胸に手をあて気持ちを落ち着けながら、堂くんのいるテーブル席に近づいていく。
「じゃああとはよろしくね」
彼女はわたしの手に図書室の鍵をにぎらせ、そそくさと出ていった。