「堂くん、好きな人いるの」
自然な流れではなかったと思う。
確実にいま訊くようなことではなかった。
だけど流れるように口をついて出たそれは、もう取り消すことなんてできなくて。
「いる」
と言われたとき、覚悟していたのにショックで座りこみそうになった。
前に訊いたとき、付き合ってる人はいないって言ってた。
じゃあ、あの女の子とはまだ恋人未満な関係なんだ。
でも想い合ってる同士、結ばれるのも時間の問題だと思う。
ふたりが付き合ったら祝福しないといけないのかな。
もう要らないって言われたら離れなきゃいけないのかな。
わたしは笑って、それができるのかな。
「お前は?」
「……え」
「好きなやつ、いるんだろ」
もしかすると、わたしの気持ちなんてとっくにバレてるのかもしれない。