ぐちゃぐちゃに散らかった思考で、わたしは自分を責め立てる。
いつも通りでいたいのに。
自分の気持ちを自覚してから、いつも通りがわからなくなった。
「じゃあ慣れろ」
「へ?」
「俺で、慣れろよ」
頬に触れられたから、てっきり顔をあげさせられるのかと思った。
だけど堂くんはかがみこんで、下からわたしの顔を見あげてくれた。
それでもまだ視線を合わせられない。
頬にあった手がゆっくりと、両手を包みこむ。
「目、見て」
あまりにも穏やかに言うものだから、わたしはつい目を向けてしまう。
その瞬間、絡み合った視線と視線。
いちど触れあったらもう、縫い留められたように離せない。
ドクンドクン、と。
鼓動の音が頭のなかを埋め尽くしていた。
「やっと合った」
「……わたしの目、気持ち悪いでしょ」
昔からよく言われることだった。
堂くんに言われる前に、自分で言った。
人は周りと違うところをなかなか認めてあげられない生き物だ。
わたし自身だってそうだった。