ストローから口を離せばふわりと届くオレンジの香り。
「じゃあホントのとこもあんだ」
「えっと、」
「噂。半分はホントってことなんでしょ」
「それは……うん、たぶん」
煮え切らない返事になってしまった。
ルナちゃんはそれさえも気にくわなかったらしい。
「どっちも?」
と訊く声は隠す気もないほどに低かった。
「……うん。さっきも話したけど、なつめくんと夏祭りには、行った。でもそれは友だちとして行っただけで、やましい?というか特別な感情は一切なくて」
「いや関係ないから」
わたしの言葉を遮るようにしたルナちゃん。
その目には諦めと怒りが半分ずつ、混ざっているような気がした。
「みくる。あんたの気持ちなんて関係ないんだよ」