あたりはやけに静かに静まり返っていた。
シューッという蒸気の音、ジーッという電気の流れる音も
耳に入らないくらい謙虚に聞こえる。
それは終幕を感じさせた。
レースから始まり、障害物競争→ボーリング→バドミントン→野球。
徐々に感情がむき出しになり本気になっていく。
ボクシング→剣道→弓道→拳銃。
相手を傷付ける事でさらに危険度は増していく。
ショットガン→マシンガン→スナイパーライフル→バズーカ。
死と隣合わせの攻防。
追う者と追われる者。
その中で必然と、追い詰める為の攻撃力 対
逃げる為の知力 と、
お互い得意分野で攻め合った。
結果勝ったのは亮輔の知力。
「はあ、、、はあ、、、」
興奮とも恐怖とも取れる動悸に亮輔息を切らせる。
足元にはこと切れた祐介の姿。
全く動きもしないその姿に、
「、、、やった!」
今までの恐怖から開放された安堵感。
「、、、勝った!」
敵を倒した!という達成感が溢れてくる。
「俺の勝ちだ〜〜!!」
施設にこだまする亮輔の雄叫び。
次第に感じてくる痛み。
よく見ると腕はミミズ腫れ、全身にはアザ、
銃弾がかすめたのか至るところに小さい傷が沢山ついている。
痛い、、、。
それはここに至る道が如何に厳しかったか。
そう物語っていた。
「はあ、、、。」
よくやく終わった長い戦いに疲れの大きなため息が漏れる。
「なんでこんな目に、、、。」
そう思うと、ふと我に還る。
そして思い出す。この戦いの目的。
梨緒を勝ち取る事。
「、、、梨緒!!」
無性に溢れる梨緒への想い。
木材の下敷きになった梨緒。
安否は、、、?具合は、、、?
確かに女神が病院に連れて行ったはずだ。
心配と不安で亮輔は周囲、上空をすがるように女神を探す。
「女神〜〜!!」
探してもいつも居るはずの女神の姿が見当たらない。
確かにこの戦いが始まる前には声が聞こえた。
「俺の勝利だ!!」
しかし、こういう時に聞こえてくるはずの『勝者〜!!』
というのが聞こえて来ない。
「梨緒に会わせてくれよ〜〜!!」
すがるように、泣きつくようにへばり付いた壁を両手で
ドンドン叩きながら叫ぶ。


「亮輔、、、。」
すると入口の方から聞きなれた声が聞こえる。
「え!?」
高い、でも少し落ち着いた心地のいい声。
いつも力をくれた、あの声が聞こえた。
亮輔は壁を叩くのをやめ、入口へ振り返る。
「、、、梨緒!!」
そこには確かに梨緒の姿。
頭に包帯を巻き、入り口に寄りかかりながらもしっかり立っている。
「これは女神のご褒美だ!」
亮輔の目には喜びと安心で涙が滲むも、
「勝者への祝福だ!」
その涙を切るように手で払い、
「ついに俺は手に入れたんだ!!」
満面の笑みを浮かべ、
「勝ち取っだんだ!」
走り出した。
「梨緒〜〜!!」