〜〜小学校入学。沢山の思い出を3人で作った〜〜
《梨緒の誕生日会。》
下には
−−梨緒ちゃん6歳−−
と、書かれている。
(手で間違った"5"と出している梨緒。
後ろでは何故かすでに鼻にクリームをつけた祐介が、指にクリームを付けて亮輔にもクリームを
付けようとし、亮輔は「やめろ!」と、逃げている。)
誕生日にはいつも3人でお祝いをした。
《飼育係で小屋で動物のお世話をする写真》
下には
−−うさぎさん大好き−−
と、書かれている。
(ウサギを大事に抱え、餌の人参を口に与える梨緒。後ろではニワトリを追い回す祐介。別のニワトリに服を引っ張られ「助けて!」と檻を掴み外の先生に訴えかける亮輔。)
係りとかクラブ活動も一緒にやった。
《運動会の写真》
下には
−−一番おめでとう−−
と、書かれている。
(ゴールテープを1着でくぐって笑顔で「1番!」とやる亮輔とやる亮輔。と、そのゴールで待っていた梨緒の2ショット写真。亮輔は何故か女装をしている。その後ろでは吊るされたパンを食べようと「ガー!」と同じく女装をしてジャンプしている祐介の姿。)
楽しかった運動会。
《理科室の実験の時の写真》
下には
−−大失敗!!−−
と、書かれている
(試験管が爆発して顔を黒く汚しビックリしてる顔の梨緒。心配そうに駆け寄る亮輔と爆笑する祐介。)
勉強した。失敗もした。
でも3人なら心強かった。
《修学旅行》
下には
−−修学旅行。京都、奈良にて−−
と、書かれている。
(金閣寺の前で撮った梨緒と亮輔の2ショット。
2人の間には少し恥ずかしそうに距離があった。)
思春期になると
お互い少しずつ男女を意識しだす。
《6年生、最後の学芸会》
下には
−−お似合いの王子様とお姫様−−
と、書かれている。
(白雪姫の最後のシーン。おでこにキスをして目覚めた梨緒を
目覚めた喜びで祐介王子は空高く抱き上げクルクル回って喜ぶ。)
同時に周りからのチヤホヤで
お互いの存在を意識しだす。
『大好き』の意味が少しずつ変化をする。
〜〜中学校入学。大人になるにつれ、3人の関係に、異変が起こる〜〜
《黒板の前でキリッとしたかっこいい面持ちで
何やら難しい方程式を書きながら説明する亮輔》
頭のよく、スポーツも出来る優等生な亮輔。
周りの信頼も厚く、リーダーシップを発揮する。
優しい性格も相まって女子はほっとかない。
将来は学者や政治家、起業など頭を使って自分でなんとかする仕事をしたいと思う。
《バットを豪快に振る祐介》
スポーツ万能。不器用ではあるがその身体能力と
大胆さでムードメーカー的存在。
その男らしさと真っ直ぐな人柄に女子の中でひそかに人気。
将来はスポーツ選手か建築業か。
身体を動かした仕事がしたいと思う。
《ミス和泉姫中学のグランプリの時の写真。
ドレス姿で微笑む梨緒に光が差し込んでまるで
女神さまのよう》
美しく男子からの絶大な人気とその持ち前の
裏表のない明るい性格で女子にも圧倒的な人気で
ミス泉姫中学に選ばれた梨緒。
成績もよく、スポーツはだめだめだが。
そのルックスはアイドルにでも、頭の良さは
キャビンアテンダントでも
人柄の良さは看護婦でも何にでもなれる可能性を
持っていた。
そんな3人の写真の中央には、梨緒の可愛い字で
−−仲良し3人組−−と書かれていた。
《祐介と梨緒とで桜の木の前で制服で写った写真。遠くには全く意識せず偶然写った亮輔の姿》
下には
−−入学式−−
と、書かれている。
梨緒を取り合いギクシャクする亮輔と祐介。
その頃から3人で写真を撮る事が
ほとんどなくなった。
お祝いの時も行事の時も3人で行動する事が
無くなった。
《野球の試合で2人を応援する梨緒の姿
(マウンドには亮輔。奥のライトには祐介が小さく写る)》
下には
−−がんばれ!泉姫の雄姿たち−−
と、書かれている。
梨緒は2人ともが大事だった。
だから2人の想いに答える事が出来なかった。
自分がいなくなれば2人は仲良くできるのかと
自分を責めた事もあった。
それでも梨緒は2人を支え続けた。
そして・・・
数少ない3人で映った
中学生になってからの写真・・・
アルバムの最期のページにある写真には・・・
《泥だらけのユニフォームでお互いソッポを向く
亮輔と祐介。その真ん中で2人の肩をグッと手繰り寄せ、くっつく梨緒》
下に書かれていたのは・・・
−−3人でいれる最期の夏。
悔いを残さないようにがんばるぞ!−−
そこに映る梨緒の顔は、
猫のような笑顔に満ちていた。
そう、
『3人、、、ずっと仲良く!』
と、願った頃と変わらずに・・・
ごめんね・・・梨緒・・・
ありがとう・・・
そして・・・
さようなら・・・
最後までご拝読頂きありがとうございます。
この作品は誰もが経験した事があるであろう
青春時代の甘く切ない恋愛模様。
不器用で叶わぬ恋を大スペクタルで描いてみました。
気付いて欲しかったのはこの作品の裏に隠された
梨緒の想い。
梨緒が訴えかけた "梨緒's STORY" です。
この物語は紐解けば
野球部の練習中の事故。
梨緒の死から始まります。
作品の中で女神と出合い→レース→競争→
と、進んで行きますがこれは3人の思い出に沿っているんです
女神(幼稚園)→レース(1年生)→競争(2年生)
と、いうように
これは梨緒の「思い出して!楽しかった、仲の良かった日々を!」という想いからなのです
そして、野球の戦い!
それは事故と繋がります
その後それは女神の仕業だったと知ります。
つまりは梨緒は「女神(神様)のせい!」仕方なかった。そう言いたかったのです。
さらに二人がヒートアップするシーンで
ボクシング→剣道→弓道→銃撃戦
へと進んできますが
その後、すべてを仕組んだ女神を
銃を持った女神を
弓道→剣道→ボクシング→
さらには野球
で、トドメを刺すことで
話を逆行させ
無効化、精算させたかったんですね
「事故は事故。忘れなさい」と。
2人が原因で起きてしまった事故。
実際2人は自身を責めるわけですが
梨緒からしたらそんなに自分を責めて欲しく無かった。
何より自分が原因でもつれてしまった関係が嫌だった。
その精算も含めて関係が修復するようにしたかった。
アルバムの最後からも分かるように
関係を修復しようとしていた
その矢先の事故。
全てがこじれてしまった後悔が見せた
梨緒が作った"夢"なんですね。
夢というよりも願い。
梨緒はずっと願ってたんです
『3人、、、ずっと仲良く』
と、、、
この作品を通じて伝えたかった事は
『相手を思う事の大切さ。
争い、いがみ合う事で生むものとは、、、』です
誹謗中傷、迷惑行為、凶悪事件
コロナが蔓延するとそれらも蔓延してきて
有名人の自殺や、暴走運転など
ニュースで騒がれる日が多いように思えます。
もちろんストレスを抱える世の中です
大変なのはわかりますが
梨緒のような自分よりも相手を思えるような気持ち
そういう人がより多く増えてくれれば
世の中もコロナも
自分を取り巻く環境も
変わってるのではないのか?
そういう想いをこの作品を通じて
少しでも感じて頂ければ
と、思っております
トライアングルのジャンルの《推理》
この小説はもう1つ結末を
推理、考察して貰いながら読んで貰う
と、いうような楽しみ要素もありました。
皆さんも感じたであろう違和感と
伏線から結末をどのように推理すれば辿り着いたのか
回答を発表いたします
違和感①死んだ人間の復活
まずは分かりやすい違和感。亮輔が殺してしまった祐介を女神を倒す為に、連想「注射」で、復活させるシーン。
女神の能力は物と場所を移動させれる能力でした。
その能力を譲渡された亮輔たちも拳銃などを
出現させれるのですが
あくまでそれは現存するものを自分の元へ召喚させるような能力でした。
死んでしまった祐介はこの能力では復活しないはず。では、祐介を復活させたのは??
何か別の力が働いたのだろうか?
違和感②知るはずの無い情報を知る梨緒
公安調査庁のエージェントと名乗った梨緒。調査で分かった女神の情報を明かして、
宇宙人の女神が地球を侵略しようと企んでいると
知る事になるのですが
ここでも違和感。
亮輔に女神への疑念を問いかけている場面。
梨緒が女神の存在に気づいたのはグラウンドで野球をしている所と言っていた
なら、何故戦いの成り行き、女神との会話まで詳細に分かっているのであろうか?
ここで梨緒への疑念が生まれる。
もしかして黒幕は梨緒なのか??
だとしたらその目的は??
違和感③冒頭の突然やってきたタイミング
梨緒が黒幕だとして目的は何なのか冒頭から読み直すと
野球のグラウンドでそれが突然やってきたとある
野球の球が空高く上がったタイミングでやってきた"それ"。
"それ"がもし、女神であればグラウンドで喧嘩を始めたシーン。それ以外であれば女神は始めは梨緒の父の方がターゲットで梨緒を見つける。グラウンドまで到達するのは梨緒の心を読んで関係性を知った後の方になる。突然やってきたとは言い難い。
と、なると女神ではなければ突然やってきた"それ"とは何なのか?
梨緒が関係する
野球の打球が空高く上がった時に突然やってきたのが"それ"なのであれば
それは梨緒が野球の打球で下敷きになったシーン。
もし、物語がその事故から始まったとすれば、、、
梨緒が言いたかった(したかった)事とは??
違和感④突然発表された梨緒の職業
梨緒がしたかったこと。
そう考えた時に、梨緒のこの話での役割。
役割といえば仕事。公安調査庁のエージェント
として仕事をしていると公表した梨緒。
急にそんな事言われても
亮輔も戸惑いを隠せない。
実はこの役割。
公安調査庁 審理室 のエージェント。
"裁定"者とされるこの職のちょうど"裁定"の部分にだけ" "がついている
ちなみに"裁定"とは
正義の制裁を加えるというような意味ですが
それは日本語では神のような存在が有無を言わさず悪人に裁きを与えるようなイメージ。
この役割に他に意味があるとしたら、、、
他の意味への変換。
どのように変換するか。それには物語をはじめから考え直す。
この話は梨緒の考える連想ゲームの話。
りお、連想、と純粋に考えると殆んどの人が
リオ→リオデジャネイロ
と、結びつくのではないか
では
この役割"裁定"これを
梨緒の言いたいこと。リオの言葉。
リオデジャネイロの言葉
つまりブラジル語に変換すると。
arbitagem 裁定
この単語には実は日本語にはない他の意味がある
arbitagem 仲裁
ブラジルでは裁定は仲を取り持つ事を意味する。
つまりは
仲直り
梨緒は仲直りさせたかった
野球の最中の事故から始まり
現実ではありえない死んだ人が復活出来、
亮輔と祐介を仲直りさせたかった。
つまりは
おそらくこの話自体が空想
梨緒が二人を仲直りさせる為に見せた夢のような話。
そして始まったのが事故からなのであれば
そんな事をしないと仲直りさせれない。
おそらく
その時点で梨緒はこの世にはいない。
二人が原因で起した事故で亡くなった梨緒
が二人の自責の念や
悪くなってしまった仲を取り戻してほしい
そう願って見せた願いのようものなのであろう。
ヒロインの名前が リオ なのも
戦いが 連想ゲーム なのも
梨緒の職業が 裁定 者 なのも
仲直り
に結びつける為の
話の確信に迫る為の伏線なのでした