1分経っただろうか?2分経っただろうか?
入り口に照準を合わせて、ずっと集中している亮輔にとって、1分、1秒がいつもより長い。
しかし、この集中を切らした瞬間、
おそらく祐介に形勢をもっていかれる。
一発でも貰ったら、即、死に繋がる恐怖。
このまま終わらせたい。
その気持ちが亮輔の集中力を保たせ続けた。
静かに静まる空間。
しかし、その静寂も数分とは持たなかった。

「おら〜〜!」

祐介の叫び声に反応し入り口に全集中を注ぐ。
その照準に祐介の姿を捉える。
亮輔は引き金を引こうとする。
が、否や
構えた銃を下げ
「やべ〜!」
すぐに柱に身を隠した。
その刹那に施設内に無差別に雨のような弾丸が降り注ぐ。

「おらおらおらおらおら〜〜〜!!!」
扉の前に立ちどこにいるか分からないターゲットに向け
無差別に銃を乱射しまくる祐介。
その腕に抱えられているのは、、、、。

《『ショットガン』→『うつ』=『マシンガン』》

機関銃と呼ばれるその銃は、他の銃が1回引き金を引くと
1発発射されるのに対し、弾薬を自動的に装填される機能を
もっている為、
常に連続して発泡する事が可能。
開発された第1次世界大戦時には塹壕(ざんごう)戦で
死体の山を築いた悪魔の銃として名が知られる。





一発でも当たれば致命傷の弾丸が雨のように降り注ぐ。
亮輔はその恐怖に柱に隠れ、一歩も動けないでいた。

「どこじゃ〜〜!!」
そんな亮輔に対し祐介は階段を降りながら
ドドドドドドド!!!
抱えたマシンガンを左右にスライドさせながら手当たり次第に乱射する。

亮輔は絶対に見つかってはならないと
身体を極限までギュッと縮め
抱えるショットガンも少しでもはみ出ないように
縦に抱え、鉄柱に身を潜める。
ドドドドドドドド!!!
しかし連射されるマシンガンの音が着実に近づく。
「このままでは確実に殺られる。」
焦りと不安で貧乏ゆすりのように身体全体が縦に揺れる。
なんとかしなくては、、、
恐怖が亮輔の頭脳をいつも以上に回転させる。

「おらおらおらおらおら〜〜!!!」
乱射する祐介の視界にはまだ亮輔は捉えられていない。

ドドドドドドドド!!!
雨のように降り注ぐ弾丸。
しかし亮輔はその隙に気付く。
雨のように見える弾丸も打ち手が左右に線を書くように
スライドさせている。
その為、線のように打ち込まれる。
「銃口の向き次第では逃げる隙はある!」
幸いにも祐介はまだこちらの位置を把握していない。
でもこちらは祐介の位置を完全に把握している。
「ならば、、、。」
亮輔はカチャッとショットガンの引き金を縦に引くと、
そのまま火花を見せないように柱に隠し
適当に斜めに発泡する。

ドーン!
施設の高い壁の上部が丸くえぐられ崩れる。その音に連射しながら
ピクッとその音の方に銃口を向けてしまう祐介。
ドーン!
今度は反対の壁の上部が音と共に刳れる。
なんだ!?
と、今度は反対側に銃口を向ける。

「今だ!」
雨のような連射が亮輔のいる柱とは遠い所で集中したのを
見計らって亮輔は柱から隣の柱へ走り抜ける。
その少しの間に
走りながら
一瞬だけ見えた祐介の姿に向け、
銃口は安定しないもののある程度目測は付けて
バーン!
と、一発弾丸を打つ。

ドーン!
祐介の頭上。
降りてきた階段のバルコニーのような足場が音と共に破片を撒き散らす。
その音にピクッと亀のように縮めた首。
パラパラと落ちてくる破片。
ふと頭上を見上げる。
すると足場がギーッと音を上げながら
襲いかかるように傾いてくる。
「うおおおおおおお!!」
マシンガンの連射に身体を揺らしながら
傾いてくる足場を集中的に連射。
キンキンキンキン!
火花と共に快音が響く。
火薬の煙が祐介の周囲をモクモクと包む。
足場はなんとか少し傾いた程度で保っている。
祐介はすぐさま銃を構え振り向く。
しかしあたりの煙も相まって亮輔はの位置や気配すら
見当もつかない。
ドーン!
それをチャンスと踏んでか亮輔の弾丸が
さらに追い込むように今度は祐介の居る直ぐ横の壁を
吹き飛ばす。
それと同時に
横にあったパイプが破裂し
ガスのような冷気のようなものが祐介の顔面目がけて
吹き出す。
「うおっ!?」
視界が奪われ、呼吸も出来ず
焦って両手でバタバタと払うようにガスのような冷気を
払い、
慌てて脱出する。