そこには女神専用の小ぶりの宇宙船。
中には頬を大きく腫らした女神が操縦桿を握っていた。
「よかろう!お前たちの力は認めてやろう。」
さらに拍車がかかってボロボロの女神が
いろんな痛みに耐えながら言う。
「しかし、これでさよならだ。」
ポチっと一つのボタンを押した。

ブーン!
小ぶりながら緑の光を小さく溜める女神の船。
どう見ても母船が溜めていたものと同じものだ。
小さくても部室棟一帯の自分たちを殺すほどの破壊力はあるだろう。
「〜〜〜!」
終わった。、、、
身体もボロボロ。
さすがにもう、、、
どうしようもない、、、
「もう、、、、無理じゃ、、、」
それを成す術なく見つめる祐介。

「祐介!!」
その祐介の目を覚まさせるように大きな亮輔の声がこだまする。
その亮輔の方を祐介が見る。
すると、少しは距離はあるものの先程いた木材の所とは違う、"部室棟"の辺りに戻って来ていた亮輔。
そう、亮輔は女神の生存を確認した時、祐介と同じように「終わった、、、」と一瞬思うも
祐介の足元近くに転がっていた
ある"もの"に気づき、走り込んでいた。
その"もの"とは、、、鉄製のバット。
亮輔が手に持っている球を存在が分かるように
お手玉のように軽くその場で投げる。

「そういう事か!!」
祐介が亮輔がお手玉している球が野球のボールと確認して
自分もそのバットを素早く手に取った。

「いくぞ!祐介!」
亮輔が思い切り振りかぶる。

「こおおおい!」
祐介が構える。

亮輔が重心を乗せて野球の球を
思い切り投げた!
「おりゃあ〜〜〜!!」

祐介めがけて真っ直ぐ飛んでくる球。
その球を
勢いを殺さないように
クルッと反転して
傷のある足を
グッと踏ん張り
打ち上げるように
祐介は打った。
「くらえや〜〜〜!!」
キーーーン!

大きな金属音と共に打ち上がる球。
亮輔の投球と祐介の打球の両方の力を乗せた球。
その軌道は、、、上空高く、、、
女神の船の中央に緑の光が集まった。
ちょうどそこへ
2人の想いを乗せた打球が突き刺さった。

「ハハハハハハ。」
勝利を確信したのか壊れたように戦内で笑う女神。
しかし、それは最後の笑いとなった。

ドカーーーーーン!
女神のレーザーがそのまま逆流し、大きな爆炎を上げて
花火のように女神の船が爆発した。

緑のレーザーの色や火花の赤やオレンジ。
黄色や銀色の混ざった粉々に散る宇宙船の破片。

大空に上がるそれは
勝利の印に上げられた花火に他ならなかった。

足を痛めた祐介の元へ亮輔が駆け寄る。
2人は笑顔で見つめ合う。
「ナイスバッティング!」
「ナイスピッチング!」
そうして2人は喜びを分かち合うように
お互いを称えるように高くハイタッチした。