時は現在。
ミサイルが直撃した戦闘機。
そう!その時!

《『治す』→『直す』=『戦闘機へ』》

で、壊れた戦闘機を直した亮輔と祐介は戦闘機で
女神の宇宙船へ向かったのだ。
「亮輔〜〜!!どうするんじゃ〜〜!!」
ミサイルが当たったところから煙を上げる戦闘機。
騒ぐ祐介。
その中で亮輔は冷静だった。
「見てろって!」
そして連想をする。

《『戦闘機』→『F−4(ファントム)Ⅱ』》

金色の光に包まれて。
そして現れた時には違う姿に形を変えて復活を遂げる。

F−4(ファントム)Ⅱ、、、アメリカ合衆国     
    マクドネル社
    が開発した艦上戦闘機。





そう!亮輔が考えた可能性。それは女神の力の利用。
その連想の能力による戦闘機のフォームチェンジ。
やられても連想をする限り復活する。
それはまさに。
「俺たちは無敵モードだ!」




「女神様!4機撃沈。次々やられております!!」
モニターを見ていた宇宙人が慌てて女神に報告する。
掲示板を食い入るように見ていた女神が「は?」
と、いうような表情を浮かべ、
「1機ごときに何をモタモタしておる!!なんとかせんか!!」
宇宙人に罵声を浴びせる。
「は!!」



ドーーーーン!
「命中!!」
さらに1機を片付け、祐介が興奮するように声を上げる。
「よし!次!!」
亮輔が慣れた手つきで反転して戦闘機の方向を変える。
すると宇宙船の母船の下に撃墜して残り数機しか居なくなっていたはずの宇宙船が
どんどん母船から産まれるように増えていく。
「げ!」
その数はゆうに30を超えている。
「女神も本気じゃのう、、、。」
しかし5機撃墜した2人には余裕があった。
操縦も慣れてきた。攻撃も出来るようになった。
そしてこの能力。撃墜されてもすぐに回復できる。
30だろうが40だろうが関係ない。
無敵モードだ!
「よし!祐介!行くぞ!!」
亮輔は思い切り操縦桿のレバーを引き加速。
グングン戦闘機のスピードは上がる。
それに気づいたのか前方からは30機以上の宇宙船が
一斉に緑のレーザーのような光線を放ってくる。
雨のように打ち込まれる光線。
しかし、そんなのはすでに経験済みだった。
「こんなものマシンガンと思えば粗いぜ!」
亮輔が軽快に光線の合間を縫って機体を真横に何度も傾けかわしていく。
その針に糸を通すような集中力は亮輔の感覚を研ぎ澄まさせ、今、亮輔には光線と光線の間の安全な"道"がはっきりと浮かんで見えていた。
その道を的確に狂いもなく通る亮輔。
「根に持つなんて女々しいのう。わしなんて殺されたんじゃぞ!」
考えてみると一緒に戦闘機に乗って戦っている事自体不思議だ。
しかしあの時、施設で回復した祐介は梨緒から説明を受け、
亮輔同様に罪悪感にかられた。
あれだけ争い、憎しみ、殺し合い、、、。
しかし、そんな事よりも今は自分達の街を守りたかった。
祐介のモニターこ射程盤が緑の"TARGET"という文字を
標し出す。
「堕ちろや〜!」
亮輔が機体を斜めに傾け、祐介がミサイルを発射した。

緑の光線を無数に放ちながら水平飛行でその場に滞在していた宇宙人の宇宙船。
その中の1機の操縦士が自分の機体に迫るミサイルに気付く。
「まずい!」
慌てた様子で言葉を放ちながら操縦桿を上下に動かす。
ゴン!
しかし、30機以上密集した空間。逃げようにも上下の戦闘機が邪魔して身動きが取れない。
焦りで操縦桿を揺らしながら見えもしない天井や床、
背後にゴンゴン当たる方を見てしまう。
「!!」
もう一度確認する。ミサイルは目の前まで来ていた。
ドカーーン!!

「よし!」
身動きも取れずに綺麗に命中したミサイル。
飛び交うレーザーを躱して敵を撃ち落とす。
それはあたかもインベーダーゲームをしているかのように思えた。
「次じゃ!どんどん行ったれ!」

ドカーーン!
ドカーーン!
1機2機と、周りの宇宙人の宇宙船が爆発音と爆炎を上げて散っていく。
「撃て!撃て〜!」
焦るように手当たり次第、全機から光線が出される。
先ほどよりも光線の密度が増す。
そして、、、
ドーーン!
ついにヒラヒラ躱していた亮輔たちの戦闘機を1つの光線が貫いた。
「よっしゃ!やったぞ!」
歓喜の声を上げる。しかし、それはすぐに一変する。
「なぜだ!!?」
煙の中から現れたのは先ほどとはまた姿を変えた戦闘機。

《『F−4(ファントム)』→『戦闘機』=『一式戦闘機 隼(はやぶさ)』》

一式戦闘機「隼」、、、第二次世界大戦時に
       大日本帝国の
       陸軍の代表的な戦闘機。
       連合軍の愛称は
      「オスカー」として知られる。





「ガハハハハ!やっぱり男なら日本軍の戦闘機じゃろ!」
「なんて言っても<『隼』じゃぞ!変な訳の分からん横文字とは違うわい!!」
祐介が得意げに言い放つ。
「英語を横文字っていうバカさ加減がお前らしいわ!もう少し博をつけてらどうだ?」
それに対し亮輔が冷めた感じで答える。
「なんじゃと!!」
祐介は亮輔の背後の座席から身を乗り出して出ている首を絞めるように掴みかかる。
「グエッ!やめろ!祐介!!」
掴まれた手を首から解こうと亮輔は両手の指を掌にひっかける。
両手を離した事で操縦桿が左右にブレ、それは相手から見てもあからさまに集中の欠けた動き。
そのまるでじゃれ合うような悶着は格好の的であった。
ドカーーン!!
「ぐあ〜〜!!」
集中力の切れた2人にはまったくミサイルが視野に入らなかった。
余裕で命中したミサイル。
墜落する寸前の全く前の見えない煙の中、
亮輔が祐介に言い聞かせる。
「祐介!集中しようぜ!」
祐介も亮輔に言い聞かせる。
「そうじゃぞ!わしらには時間がないんじゃ!」
そう!こんな悶着をしている場合ではない。
そうこうしている間にも街の危機は迫ってきているのだ。
「祐介!本気を出すぞ!しっかり狙えよ!」
亮輔がしっかり操縦桿を握る。
「誰に言っとるんじゃ!一気に片したるわ!!」
祐介も身を引き締めいつでも狙える準備を整えた。

モクモクと亮輔と祐介の戦闘機を爆炎が包んでいる。
「やったか?」
宇宙人の1機が目の前爆炎を確認する。
しかし煙で中は確認できない。
機内のレーダーを確認する。
レーダーにはまだ機体の存在がはっきり映る。
「まだいる、、、。来るぞ!!」
機内に緊張が走る。
身構える宇宙人。
煙がゆっくり晴れていく。
「機体が見えた瞬間に撃ち落とす!!」
そして、、、煙が無くなり見えたものは、
「なに!!?」
そこに姿を現したのは何もない空間。
そこにあったはずの機体は消えている。
もう一度レーダーを確認する。
しかし、レーダーにはしっかりとその存在が映る。
目の前に存在しなくて、母船から送られてくるソナーのようなレーダーには反応する。
「!?、、、まさか!上か!!」
その表示の点が示す上空。爆炎の遥か真上を宇宙人が見上げる。
太陽の光が直射でまぶしく宇宙人の視界を照らす。

「さあ、祐介!獲物を仕留めるぞ。」
爆炎の勢いで上空へ飛び上がっていた亮輔が
遥か下方の宇宙船めがけて急降下した。

《『一式戦闘機「隼」』→『戦闘機』=『p−40(ウォーフォーク)』》

P−40(ウォーフォーク)、、、
      ドーントレス急降下爆撃機
      として知られ、高い高度から
      一気に急降下して、
      相手を撃ち落とす。
      その姿からウォーフォーク
     (戦鷹)と呼ばれる。





太陽が目くらましになり見えなかった機体の影が
徐々に宇宙人の視界に見えてくる。
「ヤバい!」
しかし、そう気付く頃にはすでに遅かった。
重力も乗せた凄まじいスピードで下降する矢のような
戦闘機が宇宙人の宇宙船を
ピュンピュンピュン!
という銃声と共に貫くように通過した。
あまりのスピードに一瞬何が起きたか分からない程。
静止したように止まる宇宙船。
「!?」
撃たれたはずの宇宙船の宇宙人も状況が掴めない。
そして、時間差で時は動き出す。
ドカーーン!!