悲しげな顔をしている渚は、何だかいつもの渚ではない気がした。

いつも明るく振る舞っていた渚。だけど、心の中では、深い深い悩みを抱えていたんだ……。

「俺は……」

俺は渚の目を見る。渚も俺の目を見つめ返す。

「俺は……いや。俺達はずっと渚の友達だ」

「…ありがとう裕也ん。やっぱり優しいね。美咲や莢未が惚れるのも分かる気がするよ。だけど私といると皆にも……」

俺は渚の頬を軽く叩いた。

「え…?」

渚は、何が起こったのか分からないといった顔で頬をさする。

「俺らは好きでお前と一緒にいるんだから、気にすんな」

「裕也ん……」

「だからお前は、いつものお前でいろよ」

そう言うと渚は俺に飛び付いて来た。俺は思わず受け止める。

「裕也んありがとう…」

すると渚は上目使いで俺を見上げて来た。いつもと違う仕種を見せる渚に、俺はドキッとする。

「莢未……」

「なぁに?ゆーちゃん」

ホントに何一つ変わらない莢未がいる。だからこそはっきりさせないといけないことがあるんだ。