「は…?」

「ちょっと莢未。おバカな裕也んはちゃんと一から言ってあげないと分からないよ」

「あ、そっか。ゆーちゃんはエロいことだけしか脳がないんだっけ?」

二人は腹を抱えて笑い転げる。俺からすればたまらなく不快だ。

「渚、莢未……」

「あ、ごめん。うんまぁ、簡単に言うと私ね、命を狙われてたの」

「はぁ!?」

呆気からんという莢未。
どうせ嘘に決まってる。

「あのね、ゆーちゃん。それだけはホントなの。だからいっそのこと死んだフリして、私という存在を消した方がマシかなって?」

「もうびっくりしちゃったよ。莢未、ホントに死にそうだったじゃん!」

「だから…お前ら二人で勝手に話を進めんなっての」

俺は莢未の話を真に受けたくはなかったが、莢未は付き合った頃から、嘘とかは付かない奴だった。だから……ホントのことなんだろう。

「そーいうこと」

莢未はウインクを飛ばしてくるが、何か腑に落ちない。さっきからこいつ俺の心を読んでるような…。

「ようなじゃなくて、読んでるんだよ」