「お母さん、お邪魔しました」

「あら美咲ちゃん。泊まっていかないの?」

「な、な、な……」

お母さんの言葉により、やっばり真っ赤になる美咲。もうタコも顔負けだろう。

「美咲、母さんの言葉に耳貸すなよ」

「あら、裕也だって泊まってもらった方がいいんじゃないの?」

「……母さん!!」

「お、お邪魔しました!!」

それだけ言って、美咲は物凄いスピードで俺の家から出て行った。そんな美咲を見て母さんはカラカラ笑っていた。

「うぶねぇ、美咲ちゃんたら……」

「お母さん。美咲は裕也のエロ本見ただけでフリスビーをこんなにしちゃうんだから」

いつの間に来たのか、陽菜がさっき美咲が投げ付けたおかしな方向に曲がったフリスビーを持ってきた。

「あらまぁ、裕也のフリスビーは中々几帳なのにね……」

そうなのだ。俺のフリスビーは市販のとは造りが違うため、また作ってもらわないといけないのかと思うとためいきが出て来る。

「ま、頑張んなさいよ。さ、晩御飯食べましょ」

母さんにポンッと背中を叩かれる。俺は慌てて母さんを引き止める。

「あの……フリスビーの修理代いや、買うお金は出してくれるよね?」

「あんたの彼女が壊したってことはあんたが壊したも同じよ。だから、あんたが全額負担よ」

突き付けられた現実は厳しかった。今週末にある練習までには間に合わせないといけない。

さて、どうしたものか。