「裕也、ごめん……。無理矢理に話させちゃって……」

「いや、むしろ俺は、美咲に感謝してるんだ」

俯く美咲の頭を俺は、そっと撫でる。

「話すことで、過去と向き合えた気がするんだ。俺は、逃げてたんだ。莢未のことから……」

「裕也……」

「それに、一つ分かったことがあるんだよ」

俺は美咲に不意打ちのキスを喰らわせた。当然、真っ赤になる美咲。

「イチャイチャするなら他の部屋にしてくれないかなぁ?」

あからさまに不機嫌そうになる陽菜。そんなのお構いなしに俺は言った。

「やっぱ、美咲が好き」

「……裕也。私もだよ」

「莢未なんか関係ない。俺は、お前が好き」

向き合えたことによって気付いた自分の気持ち。もう、放したくない大切な人。それは、美咲。

「お兄ちゃん、美咲。ちょっとは場所考えたら?」

「陽菜、悪いな。当分、美咲離さないから」

「エロにぃ……」

陽菜が一言呟くと、美咲はパッと俺から離れた。

「まだ、縛られたくないもん。私」

「な……」

絶句する俺を、美咲と陽菜は指差して笑う。何だか悲しいぞ、俺は。

ま、陽菜があんなに楽しそうにしてるからいいか。今日だけは勘弁してやるか。