舞い上がった、



星のペンダント。









俺には、何が起きたのか理解できなかった。しかし、一つだけ分かったことがあった。いや、分かりたくなかった。

「莢未!ねぇ莢未!!
しっかりしてよ!」

俺の前には、大量の血を流している君と、その莢未を揺さぶっている陽菜の姿があった。

「莢未、莢未!!」

陽菜が必死に君を揺さぶっても、君は目を開けなかった。

「お兄ちゃん!早く、早く救急車!!」

俺は、陽菜の言葉で、救急車という存在を思いだし、慌てて電話をかけた。何を言っているのか、自分でも分からなかった。だけど、それでも電話を受けてくれた人は冷静に 対応してくれた。

5分もしない内に、救急車は到着した。

「莢未…莢未」

俺も陽菜と一緒に莢未に呼び掛けた。

「どいて下さい!!」

救急車の隊員は、莢未に応急処置を施しながら、莢未を救急車に乗せた。

「俺も行きます!」
「私も!」

「来るんじゃない!」

俺と陽菜は、隊員の人に強く体を押されてしまった。

その反動で、俺達は道路に強く体をぶつける。この時に気付くべきだった。何かがおかしいと…。

だけど、冷静な判断が出来なかった俺は、普段は祈らない神様に必死で祈ることしか出来なかった…。

『莢未を助けてください!』と…。しかし、運命は残酷だった。

「うそ…うそよ…!!」

俺達の耳に伝わったのは、莢未が死んだということだけだった。どうやら、頭を強くぶつけた衝撃が致命傷になったらしい。

「莢未が…死んだ?」

俺には、受け入れられない事実だった……。