「あ、あのさ莢未……、俺ん家来ない?今日、親いないんだ」

君のことをもっと知りたかった。守りたかったからこそ、知りたかったんだ。

「……それは、そういう意味って考えていいのかな?」

少し、頬を染めて君が俺を見る。 俺は、その視線を真っすぐ受け止めて頷いた。

「……分かった。行こっ?」

俺達は、いつもより少し、ぎこちない距離間を保ちながら歩き始めた。
だけどその距離間が逆に心地いい。この二年間で、俺達は深く繋がれたと思う。もはや、口に出さなくても分かっているはずだ。

お互いがお互いを想っているということを。

そして、俺の家に着いた。

「何か、いつも見る、ゆーちゃんの家とは違う感じするよ」

「俺ん家は俺ん家だよ。さ、入ってよ」

「おじゃましまぁーす」

いつになく、緊張した面持ちで、君は俺の家へと上がっていった。親いないって言ったのにな。俺はそんな君が可愛くて、クスリと笑った。

「お帰り、お兄ちゃん」

しかし、誰もいないはずだった俺の家からは何故か声が返って来た。