「よーしお疲れさん。陽が落ちたし終わりにしようか」

先輩のその言葉で今日の部活は終わりとなった。
俺は疲れでその場に座り込んだ。そして、そのまま寝転がった。ひんやりとしたアスファルトの感触が気持ちいい。

だけどそれ以上に冷たい感触が額に広がった。

「冷たっ!!」

俺は思わず飛び起きる。

「起きたー?これ、差し入れだよ?」

「サンキュー、ちょうど喉渇いてたんだよ」

だけど、本音を言わせてもらえば、冷たいスポーツドリンクよりも、君の笑顔の方が何よりも差し入れになったんだ。

「莢未、帰んないの?」

「あのさ、レディを夜遅くに一人で帰していいって思ってるの?」

君は、呆れた顔で俺を見たけど、俺の心臓はバクバクだ。

「…それって、一緒に帰ろうって言ってる?」

「そう言ったつもりだけど?」

君はそう言って微笑んだ。俺は瞬時に顔が赤くなる。

「じゃ、用意してくるから待っててね?」

楽しそうに部室に戻っていく君をよそに、俺の心臓はやかましく鳴り続いていた。