「陽菜、裕也は莢未さんにもこんなことしてたの?」

「…分からないけど、『莢未が来るから少し家を空けてくれ。ブランド物の財布やるから』って言われたことはあったかも」

美咲はそれを聞いた途端、陽菜と同じ目で、俺を見て来た。

「美咲…違うんだ!確かに半分は合って…」

「最低っ!!」

美咲はそれを聞くと、近くにあったフリスビーを投げつけて来た。幸い、ゆるやかな弾道だったから簡単によけられた。多分、野球ボールとかだったら俺は死んでいただろう。

「裕也、最低!!」

「美咲、だから言ったでしょ?こんな男は止めときなって…。しかも嫌がる莢未を…」

「陽菜、少し黙れ!」

俺は陽菜をつまんで、部屋の外に追い出した。こいつはさっきから火に油を注ぎまくっている。

「美咲…」

「私の半径五メートル内に入らないで」
       
「………はい」

もう、美咲は俺と目を合わしてくれない。何で、こんなことに…。