「ここで君に取って置きの情報を教えてあげよう」

お父さんがそう言い出したのは話始めて30分が経過した頃だった。

「何ですか?」

「美咲の胸のサイズだよ」

「は……!?」

やばい。俺は慌てて口を抑える。彼女のお父さんに『は…!?』と言ってしまった。

「気にならないのかい?」

気にならないはずがない。俺が美咲をアルティメットを誘ったのには、男の本能があったからだ。

「お父さんは知ってるんですか?」

「美咲のことで知らないことなど一つもない。告白された回数も知っている」

俺はゴクリと生唾を飲み込む。落ち着け、俺。今俺は、一番、知りたかったことを知るチャンスを掴んでいるのだ。

「それでお父さん……。ずばり美咲のサイズは」

「よくぞ聞いた裕也君!心して聞くんだ美咲は…」

「ストーップ!!何話そうとしてんのよ!お父さんは!!」

パジャマ姿のまま駆け付けて来た美咲は、そのままお父さんの口を塞ぐ。

「裕也も!!何聞こうとしてんの!」

美咲の怒りの声も入ってこなかった。それもそうだろう。パジャマを着ているから、その……当然胸の警備は薄い。視線は自然とそこにいってしまう。

「……裕也!さっきからどこ見てんのよ!もう!出てってよ!」

俺の視線に気付いた美咲が風呂上がりの顔をさらに真っ赤にして叫んだ。

「まあまあ美咲。落ち着けって……」

「出てけー!!」

ここまで来ると、もはや軽いヒステリーだ。

「し、失礼しまーす!」

命の危険を察知した俺は美咲の家から脱出した。