「君は、美咲の瞳のことを知っているね?」

「はい……。その……失明してしまうとか」

「それを知っていて何故美咲と付き合おうとするのかね?今はいいかもしれないが、後々君の障害に……」

「好きになっちゃったんですよ、僕。あなた達の娘さんの美咲さんが……。それだけですよ」

俺の答えにお父さんは呆気に取られてしまったようだ。だけど俺は嘘は付いていない。好きになった美咲に病気があった。ただそれだけなんだ。

「それに、ぼ…いや俺、美咲を支え続けます。俺が美咲の瞳になるんです」

俺がそう言うと、お父さんは一回深く息を吐いた。そして、俺の手をがっちり握った。

「君、気に入ったよ。君になら美咲を任せられる」

「あ……ありがとうございます」

「いや、君が美咲の可愛い顔や大きい胸に惹かれて付き合ったっていう輩かと思ってな」

俺は確信した。この人は絶対に美咲を溺愛している。さらにお父さんは言葉を続けた。

「ウチの娘は可愛いだろう?」

「え……はぁ、まあ」

さっきまでの重い空気は何処へやら……。お父さんはその後も20分は美咲自慢をしていた。頼みのお母さんも、ニコニコと話を聞いてる。俺は早く終われとばかりに適当に相槌を打っていた。