「あの、今日から美咲さんとお付き合いさせてもらってる、神代 裕也です。今日は遅くまですみませんでした」

俺は、目の前のソファーに掛けている美咲のお父さんお母さんに今一度、詫びを入れた。

「あらあら、いいのよ。そんなに改まらなくても。ほら、あなたも」

「いや、美咲が彼氏を連れ込んでくるなんて初めてのことだからなぁ」

お父さんがそう言うと、美咲は少し顔が赤くなった。残念ながら、今の俺にそんな余裕はない。

「あの……やっぱり俺」

「美咲、あんた裕也君の為にお風呂入ってきなさい」

は!?開いた口が塞がらない。このお母さん、何を言い出してるんだ?

「ちょっ…お母さん!」

もう美咲はリンゴみたいに真っ赤だった。

「ほら、早く行きなさい。あんたお母さんの言うことに逆らうの?」

「い、行ってきます!」

お母さんの脅しを受けると美咲は急いでお風呂場に駆け込んでいった。それを見届けてから、お父さんは話を切り出した

「さて、裕也君。君に話があるんだが……?」

さっきまでの愛想のいいお父さんとは全然違う。その視線はむしろ恐かった。